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2018.03.01

レストラン ホテルの紹介 Eat OKINAWA! SPECIAL STORY

Eat OKINAWA! SPECIAL STORY vol. 1 「やんばる野菜が美味しい理由」

Eat OKINAWA!「やんばる野菜が美味しい理由」

寺嶋誠一郎(「オキナワ マリオット リゾート & スパ」総料理長) × 芳野幸雄(「やんばる畑人プロジェクト」代表)

「オキナワ マリオット リゾート & スパ」がある沖縄県北部、通称「やんばる」という地域には、自然豊かな環境の中、畑も多く、力強い美味しい野菜が育てられています。
そんな地元の食材を活かした料理をお客様に食べていただきたいと、寺嶋誠一郎総料理長をはじめ、各レストランのシェフたちは、毎週「朝市」に足を運んだり、生産者と飲食店が結びつく「やんばる畑人プロジェクト」に参加するなど、地元の農家の取り組みを応援しながら、地元の食材と日々、向き合っているのです。
この日、寺嶋総料理長は、「やんばる畑人プロジェクト」の代表をつとめる芳野幸雄さんの畑を訪ねました。生産者と繋がりを大切にすることで、より地元食材への思いが深まります。そんな2人のやんばる野菜への愛情が、お客様への最高のおもてなしとなります。

生産者と繋がることで、料理はより美味しくなる。

――お2人の出会いはいつになるのですか?
寺嶋 僕が沖縄に来て1、2年目だから、2010年くらいですね。
芳野 僕はその後、2011年に「やんばる畑人プロジェクト」という、生産者と飲食店とが結びついて、一緒にやんばるの美味しさを伝えるプロジェクトを立ち上げたのですが、その立ち上げの報告を寺嶋さんにさせていただいたんです。その時、寺嶋さんはすぐに賛同してくれましたよね。現在、沖縄県内のいろんなレストランやカフェが応援店として参加してくれていますが、大きなホテルではシェフがやりたいと言ってもなかなか難しいこともある中、寺嶋さんが会社を口説いてくれて応援店になってくれました。とても嬉しかったですね。
寺嶋 最初、芳野さんからお話もらった時、いい取り組みだから、ぜひやろうと思ったんです。ホテルのお客様は観光で来るお客様がメインなので、なるべく地のものを使いたいと思っていましたし、ホテルとしても「オキナワ マリオット リゾ―ト & スパ」は地元のやんばる野菜を使ってがんばって料理をやっていますというPRにもなりますし。
芳野 「香祭」(やんばる畑人プロジェクト主催の年に一度の食のイベント)にも出店していただいているのですが、手作りのイベントに、寺嶋さん率いる「オキナワ マリオット リゾ―ト & スパ」のシェフチ―ムがコック服でバシッと出店してくれると、場が引き締まるんですよ。「香祭」に、街場の飲食店から高級ホテルまでもが出店してくれているのは本当に嬉しいし、しかも地元の農家を大切にしてくれているのが伝わるんですよ。

若い玉ねぎも美味しくいただける。

――寺嶋さんは「オキナワ マリオット リゾ―ト & スパ」の総料理長として沖縄にいらっしゃったとのことですが、それまでは沖縄の野菜は使ったことがなかったそうですね。
寺嶋 ずっと東京のホテルやレストランにいたので、それまで沖縄の野菜は全然使ったことがなかったんです。実は沖縄には観光でも行ったことなくて、この仕事で沖縄に来たのが初めてだったんですよ。
芳野 僕もそうなんですよ。農業やるのに研修先を探して、たまたま沖縄に研修先があるということできたので。
寺嶋 まあ、料理人だから、行けばなんとかなるかな、というくらいだったのですが、あんまりなんとかならなくて(笑)。でも沖縄のホテルにいる以上、地元の食材を使わないでどうするんだと思ったんですね。それで朝市にまずは行きはじめて、そこからどんどん生産者の方々と結びついていった感じです。とはいえ、地元の野菜を使っていても、ただ普通に出していたのではわからないから、説明とかスト―リ―を伝えることが大切だと思うんですよ。そのためにも生産者の人たちとの交流は大事なんです。
――「オキナワ マリオット リゾ―ト & スパ」は、寺嶋さんをはじめ、各料理長が、毎週、朝市に出向いて野菜を仕入れるそうですね。
寺嶋 最初は僕一人で行っていて、いまはシェフみんなが行っています。僕らが行っている朝市は「やんばる朝市かあちゃんの会」というホテルや飲食店向けの販売をしている朝市なのですが、そこで生産者のおばちゃんと仲良くなるのがいいんですよ。もちろん野菜を仕入れることも目的ですが、いろんな話をして、「今度こんなの作るよ」とか「作ってほしい野菜ある?」とかいろんな話ができます。とにかく農家さんが元気なんです。「やんばる朝市」もそうだし、芳野さんたちの「やんばる畑人プロジェクト」もそうだし。
芳野 元気になるのは、やってて楽しいから。僕ら生産者も料理人たちと交流すると、先週のあの野菜美味しかったとか、逆に不味かったとか、こうだったよっていうことを言ってくれるから、それが励みになるんですよね。今度はこういうのを作ってみようと新しいチャレンジもできるし、刺激になります。それが生産者の元気につながっていると思います。

「この時季のキャベツは宇宙一美味しい」と芳野さん。

寺嶋 もちろん本土の野菜にも美味しい野菜がたくさんありますが、沖縄の野菜には他の地域にはない美味しさがあるし、元気がありますよね。
芳野 旬の時季に旬の野菜を作ることが一番の美味しい秘密なのは間違いないです。その上で、なぜやんばるの野菜が美味しいかというと、沖縄は海に囲まれているからミネラルが含まれていて美味しいというのはよく言われる理由ですが、だけどそれであれば本土でも海沿いの土地なら同じですよね。だけど、沖縄の真上から照りつける太陽は他のどこにも真似できない。その太陽を浴びて育った野菜は、元気があって力強くて美味しいんだと思います。
――寺嶋さんは今日、芳野さんの畑に行かれましたが、いかがでしたか?
寺嶋 畑に行くと、農家さんのスト―リ―も感じるし、栽培している野菜を見て、話を聞いて、野菜の性質や育て方、実のつき方なども知ることができる。とても面白かったですね。
芳野 料理人が来てくれると、僕たちも野菜の可能性を知ることができます。たとえば、玉ねぎ。僕らは、まだ実が大きくなっていなくて出荷できないと思っていても、実が小さいままだと皮を剥かずにそのままロ―ストできるし、ネギの部分まで柔らかいから、上まで使える。そういうことを料理人に教えてもらったんです。そうすると、成長段階でいろいろな美味しさがあることを知る。たとえば、ルッコラやからし菜は葉っぱだけでなく花も食べられるんです。
寺嶋 オクラの花も美味しいですよね。
芳野 そういう発見が面白いんです。
――逆に、地元の食材と出合うことで、新しい料理が生まれることもありますか?
寺嶋 僕はフレンチの中でこの食材をこう置き換えたらいいんじゃないかと考えていくんです。自分が持っている引き出しの中で、出合った食材を置き換えていくんですよ。
芳野 引き出しさえたくさん用意しておけば、畑で何がとれているかで、畑に寄り添うメニュ―が生まれるんだと思います。
寺嶋 それもこうして農家の方々とやりとりすることで発見があるから、発想が膨らんでいくんです。僕はこれまでいろんなホテルを経験してきましたが、中には、既製品を使うホテルもありました。だけど、やっぱり料理人が素材と向き合って、いちからつくることを僕はやっていきたいと思っているんです。ホテルですのでもちろん制限もありますが、なるべく自分のメニュ―の中では“手づくりで作る”ということを大切にしていきたいし、これからも地元の取り組みに関わっていって、できる限り、旬のものを使っていきたいですね。




 

(プロフィ―ル)

寺嶋誠一郎●1963年神奈川生まれ。「富士屋ホテル」から料理人としてのキャリアをスタ―トさせる。フレンチのシェフとして、東京の有名ホテル、レストランの料理長を経て、「オキナワ マリオット リゾ―ト & スパ」の総料理長に就任。

芳野幸雄●1970年東京生まれ。定期宅配サ―ビス「らでぃっしゅぼ―や」他、野菜の流通の仕事に携わり、2003年沖縄移住し、農業をはじめる。「農業生産法人株式会社クックソニア」代表。名護市のカフェ「Cookhal」も経営している。

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